2009/1 36.5×55.0cm 富田林の寺内町
 正月幕の内に初めて訪れた。伝統的な建物群と町並みがよく保存されていることに感嘆した。入場料をとって内部を見せるような建物は2,3カ所だけ、他は保存修復しながら住まわれている。歴史的建造物を集めた展示場にはない日常生活が息づく生きた町並なのだ。ガレージや車庫を造らないだけでも相当に生活上の不便を来しているはずだ。それどころか、家前には自転車、バイクはもちろん、植木鉢さえ置かれていない。一般駐車場、公衆トイレ、土産物店、飲食店のような観光地には必要なものが一切無いことも気に入った。(注)
散策場所には最適の地であり、何十枚も絵が描けそうな場所だ。 どこを描こうかとさんざん迷った末、構図がおもしろいと思って倉が並ぶ旧家の塀が続く場所を選んだ。反面、生活の臭いがあまりないところになってしまった。
 帰宅後スケッチを見ると道や建物の形がどうも不自然に感じる。遠近法に適っていないのかなと思ってデジカメ写真と見比べながら修正したら、全く迫力のない構図になってしまった。写真と目で見たものとは違うのだ。現地を再訪問してスケッチし直したものがこの絵である。しかし、まだどこか不自然な感じが残る。
 筆を置き、どこが悪かったかと買い集めた本を捲っていると、何と高橋尚昭さんの「水彩画これ一冊で形のとり方がわかる!〜初歩からの透視図〜」に載っている「寺内町の道」が、この通りを拙画の二人連れ辺りからスケッチしているではないか。この本で透視図をよく勉強してから訪れるべきだったと悔やまれる。(09/2/7、一部修正)

  トップページ >風景 >富田林の寺内町  ←前の絵へ  次の絵へ

(注)実は正月幕の内で閉まっていただけだということが、その後の訪問で分かった。「じないまち交流館」と「じないまちセンター」という2つの案内所兼休憩所があり、そこにはもちろんトイレもある。茶店風の食事処が1軒、喫茶店が1軒ある。駐車場はないようだ。