手作りイーゼルあれこれ

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 自作イーゼルのあれこれを紹介します。 どれも軽く持ち運びに便利なものばかりです。
 この他にも、「こういうものもあるよ」と教えてくださるとありがたいです。 順次紹介させていただきます。
 (連絡先:teinengo@nobosuisai.info)

 クロッキー用墨汁セット  墨汁で濃淡を付けながらクロッキーできる便利なセットです。
 百均肩掛け画板 百均で買えるもので簡単に作れます。それに一工夫しています。
 超簡易パイプ椅子イーゼル  これは超簡単、パイプ式イーゼルのような装置は不要です。ただし使用上の注意が必要です。
 パイプ椅子イーゼル  室内で描くとき重たいイーゼルは不要です。この道具があればパイプ椅子で代用できます。
 コンパクト・軽量イーゼル アルミと木でできた軽くコンパクトなイーゼル。屋外スケッチにはもってこいです。
 クロッキー用イーゼル クロッキー用紙と筆記具を収納できる軽いイーゼルです。荷物が減って助かります。
 プロ級イーゼル 本格的な木製イーゼルです。木の暖かみがあり超優れもの。ちょっと作り方が難しいのが難点かも。
 超軽量イーゼル 荷物をなるべく減らしたいときに便利です。風に吹き飛ばされるくらい軽いのが善し悪しです。
 愛妻イーゼル ご主人が絵を描く奥様のために作られました。簡単に作成できるのに超便利。深い愛情の成果です。
 フレシキブルイーゼル イーゼルの傾斜角度が自由に変えられる優れもの。その代わりちょっと画板が揺れやすいです。
 市販イーゼル用パレット・水入置台 市販イーゼルに筆洗い容器、絵の具箱、筆が置けるとどんなに便利かと創意工夫されてます。
 究極の簡易イーゼル これ以上の簡易イーゼルはないと思います。さすが歳の功、これは使えます。
● クロッキー用墨汁セット
今回はイーゼルの紹介ではありませんが、パイプ椅子をイーゼル代わりにしてクロッキーを描くときに便利な用具を紹介しましょう。
高槻人物画同好会の青木さんのクロッキーは、葦ペンで墨汁の真っ黒な線を描かれます。太くも細くも自由自在、おまけに力強い線でとても魅力的です。Aさんは、その上に筆で墨汁のモノクロの微妙な濃淡まで入れられます。長くても10分程度しかないクロッキーで濃淡を付けるとは神業かと思いますが、それなりに工夫された用具セットを準備されているのです。
作り方:(青木さんから手書きの作り方をいただきました。これを見られたほうがよく分かります下方に追加しています。9/3)

@小瓶を5つ用意します。一つは筆入れ、後の4つには水、墨汁の原液、濃淡が異なる薄めた墨汁液を入れられてます。
Aビニールの買い物袋を切って二つ折りにします。
Bビニールの上にもう一枚ビニールを被せてガムテープで固定して丈夫なものにします。端もガムテープで補強します。長さは椅子の汚れ防止のために座面よりも長くします。(写真参照)
C写真のように持ち運べるようにします。持ち手はクリップです。使用時は背もたれへの固定用です。二つ折りの中程に厚紙で作った箱をガムテープで固定します。箱は5つの小瓶がぴったり入るサイズで作ります。(写真参照)
これで目の前のモデルさんから目を離さず、必要な濃度の墨汁を使い分けてすばやく描くことが出来ます。
運搬に便利なので、屋外スケッチで風景画を墨汁で描くときにも応用できると思います。

 

● 百均肩掛け画板 
自分がイーゼルになって描く方法がありますね。そうです、肩掛け画板です。高槻のクロッキー会でWさんは全て百均で買ったもので手作りされています。Wさんの工夫点は、一部をゴム紐に変えたことです。数分間のポーズを次々と描いていくクロッキー会では、クロッキー帳をすばやくめくって次のポーズに備える必要があります。お腹で支えているので画板を外すか、画板を立ててクロッキー帳をめくるしかありません。これではとても面倒なので、ゴム紐を付けて画板を少し下げて用紙をめくる方法を思いついたということです。但し、画板のサイズはあまり大きくできないので、F8以上のサイズに描かれる場合は不適当でしょう。

 

● 超簡易パイプ椅子イーゼル 
パイプ椅子イーゼルを紹介したら、自分はもっと簡単に画板を立てて使っているという方が現れた。発泡スチロールの端くれ(木片でも何でも良い)をビニールの座面にガムテープで貼り付けて画板がずれるのを防止するアイデアです。もはやイーゼルとは言えないがこれは超便利。ただし、強力なノリのガムテープよりも、荷造り用のすぐ剥がせるテープの方が良いでしょう。ノリが座面に付いたまま元に戻すと顰蹙を買いますから。

 

● パイプ椅子イーゼル
室内で人物、静物、クロッキーなどを描きにきに行くときイーゼルを持っていくのは邪魔くさいものですね。持ち物はなるべく軽くしたいので、イーゼルは持参せず、部屋にあるパイプ椅子を逆向きにして背もたれに画板を立て掛けて描くことがよくあります。そういうときに便利な道具を高槻人物画同好会の青木猛さんが創られたので紹介しましょう。
作り方の注意
写真で一目瞭然ですね。青木さんから聞いた留意点は一つだけ、背もたれを支える二つの支柱の幅が椅子によって多少異なるので、写真のように一番外側の横木は少し長めにしておくようにということでした。角度調整用の桟(横木)はスライドできるようになっているとなお便利でしょうね。

 

● コンパクト・軽量イーゼル
こもれび水彩クラブの会員、高岸聖さんが考案したイーゼルは「軽い・コンパクト・丈夫」と三拍子揃った優れものです。カメラ用三脚とイーゼルを繋ぐ底板と画板のずり落ちを止める受け台はアルミ製、その他(黒く塗っている部分)は木製です。持った第一印象はとにかく軽いことです。それにアルミ製なので歪みがなく丈夫です。ただし、作成にはタップとか金切りノコのような工具が必要になります。
作成方法は、
@2o厚のアルミ板と受け台用の板を金切鋸で切り形を作ります。(アルミ板はホームセンターで工作用として各種販売されています。)
Aねじ穴は「ハンドタップ」という工具で空けます。(これもホームセンターで安く手に入ります。サイズ(カメラ用=1/4インチネジ)を間違えないように。)
Bアルミ板にいきなりタップで穴は空けられません。まず金物電動ドリルで穴を空けてからねじ穴を付けてください。
C写真の三脚はカメラに受け台を付けて取り外しするタイプです。ポピュラーな取り付けようネジだけ出ているタイプでも大丈夫です。

  
何回も試行錯誤の末にの形状になったそうです。        ↑カメラに付ける台を取り付けてます。             ↑カメラ取り付け台を外すと底板のねじ穴が見えてます
 

↑裏側を見たらこうなってます。                     ↑F8の水彩用紙を置きました。これくらいのサイズまでなら大丈夫です。

● クロッキー用イーゼル 
プロ級イーゼルの考案者、浦田道数さんが、クロッキー向けのイーゼルを作られました。その日に使う分のクロッキー用紙と鉛筆等描写用具がイーゼルに収納されるので携帯物は三脚とこのイーゼルだけで済みます。また、ポーズが次々と切り替わってもさっと新しい用紙に描けるよう工夫されています。
特徴は
 @B3サイズが入るくらいの大きさの木製箱が本体です。プロ級イーゼルよりかなり薄い箱です。
 A箱は両開きになっていて、中に20枚くらいの用紙と鉛筆や消しゴム等の筆記具が収納できます。
 B使用時は箱から用紙等取り出しカメラ用三脚に固定します。
 C用紙は表面に取り付けられたクリップに挟みます。用紙はノートのようにめくれるので次のポーズに即対応できます。
 Dスケッチ用紙も収納できるので、鉛筆やペン描きの屋外スケッチにも向いています。
 Eカメラ用三脚にカメラを取り付ける方法は何種類もあります。それぞれの方法に応じた工夫が必要です。写真は浦田さんの三脚用に作られたものです。
 Fカメラ用三脚で最も多い方法は1/4インチのネジで固定するものです。(カメラには必ずこのねじ穴があります。)ネジ固定式の三脚向けに、浦田さんは写真のようなスライド箱を考案されました。イーゼルを回して取り付けるのは面倒です。これなら簡単にスライドして取り付け取り外しができます。しかもカメラを固定するのと同じように鋼板の平面と密着できますからぐらぐらすることは全くありません。これさえあれば工夫次第でいろいろな種類のイーゼルが作れそうです。

ただいま浦田さんの各種自作イーゼルを展示中です。
 浦田道数個展
 ・高槻阪急百貨店3階イベントスペース  高槻市白梅町4−1 072-684-5400
 ・2021/3/3(水)〜3/9(火) 10:00〜20:00(最終日16:00)
 浦田さんのオリジナル溢れる深海魚の世界を描かれた素晴らしい作品の数々と共に展示中です。
 
     

     
 イーゼルの表側 クリップと両開きの留め具が撮ってます。         ↑イーゼルの箱を開けたところ 

     
   ↑このように収納できます。             ↑裏側 三脚に付けられた板をスライドして差し込みます。 ↑このようにして差し込みます。 

     
 ↑ネジ式三脚に固定するにはこれが便利です。   ホームセンターでネジ(1/4インチ)の大きさの穴が空いている鋼板を購入(板と板を繋ぐ金具でDIY用に多様な種類が売られています。)
   この金具に強力接着剤でナットを貼り付けます。 (指等に接着剤が付かないようご注意ください。)後は木の端くれでスライド式の箱を作ります。
(上の写真は浦田さん作成品。)

● プロ級イーゼル   2021/3/9まで浦田さんの各種自作イーゼルを展示中です。(クロッキー用イーゼル参照)

高槻絵画同好会の浦田道数さんが作られたイーゼルです。本職が塗装・看板の自営業だけあって趣味の木工技術はプロ級の腕前。その正確性と創意工夫の知恵には舌を巻かれます。

その特徴を列挙すると
@油彩・水彩の両用ができるよう自由に傾斜角度がつけられる。
A市販カメラ用三脚とイーゼル本体との脱着はいとも簡単なのにがっしりと固定できる。
B本体を開けて、筆やパレットなどを収納できる。
C画板のサイズに合わせて自由にセットできる。
D大きな筆置き場が超便利
E写真を見ながら現場スケッチできる。
F夏はミニ扇風機に当たりながらスケッチできる。

以上のようにとても便利なイーゼルですが、ちょっと木工技術が必要です。作る自信がない方は直接ご本人にお問い合わせください。
時間的余裕があるときは注文生産に応じてもらえそうです。(ただし有料)

  
正面。本職の塗装技術でこれから漆塗りにするそうです。   ↑背面。三脚とがっちり固定されています。    ↑側面。サイズ調整用横板、筆置き台の大きさが分かります。

  
↑本体の中は道具箱になっています。          ↑ワンタッチのスライドで三脚と脱着できます。    ↑三脚に取り付けるためのナットは板に埋め込みボンドで固定、その上にトタン板を張り付けています。
 
↑そのためにがっしりと三脚に固定できます。                      ↑イーゼルを立てて使うときはこのように電池式ミニ扇風機を取り付けられます。
この箇所は20個も試行錯誤したそうです。筆者も一番感心したところです。
    またクリップから出た針金の先に写真などを留めること出来ます。水平で使うときも可能です。
                                          これでデッサンの狂いもすくなくなるかもしれません。

超軽量イーゼル 
こぼれび水彩クラブのWさん考案のとっても軽いイーゼルです。Wさんは屋外スケッチ大好き人間で毎週のように出かけられます。それだけに、荷物はできるだけ軽くするのがモットー。そこで考案されたのが発泡スチロールイーゼルです。F8サイズの大きさでわずか数グラムという軽さです。これなら持ち運びには全く苦になりません。奥様の助言を得て作られたそうです。
発泡スチロール枚でF8サイズくらいの1枚、それより幅が少し短い板1枚、三角形(写真参照)の板2枚、細長い板1枚を用意してください。F8より幅の短い枚に2箇所切れ込みを入れます。F8サイズの板には三角形の板を切れ込みの幅に合わせて透明のガムテープで貼り付けます。(板の厚みで垂直に立てられるように貼ってください。)その板の裏側(画板を置く表面になります)には長辺が板幅サイズの細長い板を透明ガムテープで貼り付けます。(同様に90度で止まるように貼ります。)これは画板がずれ落ちることを防ぐ役目をします。
注意すべき点は、切れ込みの幅を差し込む三角形の板幅よりも狭くすることです。(同じ幅に切るとぶかぶかして止まらなくなります。)発泡スチロールは柔軟性があるので少々狭くても差し込めます。
使用時は三角形の板を切れ込みに入れるだけです。板の角度は差込の具合で調整できますので、水彩画のように傾斜がゆるいイーゼルとしても使えます。このイーゼルの弱点は軽すぎて風が強いと吹き飛ばされることです。また地面に置いて使えますが、できれば適当な台の上に置く方が楽です。下記の「究極のイーゼル」の上に置いて使用するのも一考でしょう。

 

 

愛妻イーゼル
4,5年前、池田市の水月公園でスケッチしていたときに近くで描いておられたご婦人が使っていたイーゼルです。
細木で長方形の枠を作り底にブリキ板を張って蓋のない箱のような形になっている。 ブリキの底板に穴(縦に3つ)が空けられており、そこにカメラを取り付ける三脚のネジを入れて蝶ナットで締め付けて固定する仕組み。枠にはL字型の取っ手が二つ付けられていて、そこに横木を差して画板がずれ落ちるのを防止する。この横木と三脚は長方形の箱の中に収納できるのでとてもコンパクトになる。(底の上部が空いているのは三脚の上部の出っ張りを考慮したもの)
このアイデア、なかなかのものと感心して聞いたところ、旦那さんが奥さんのために作ってくれたと言う。アア、羨ましいと思い、いろいろと旦那さんの話を聞く内にお名前を聞くのを失念してしまった。

 

フレシキブルイーゼル
高槻絵画同好会の加藤誠さん考案のイーゼルです。
カメラ用三脚の上部にあるカメラとの固定装置を全部取り払います。固定装置と三脚を繋ぐ穴に見合った径のフレキシブルホース(ホームセンターで手に入ります。)を差し込み、ホースの先端には袋ナットを取り付け固定します。市販のバインダー(A3サイズ)に取り付けて完成です。画用紙はバインダーにクリップで留めます。
このイーゼルの利点はホースが自由に曲がるので傾斜角度を簡単に調整できること、そしてとても軽いことです。その代わり、ホースがバネのように働いて画板が揺れやすいという欠点があります。水彩画よりもクロッキーのような使用に適しているでしょう。
非使用時は写真のように画板と三脚はナットを廻すと離れるので持ち運びに支障はありません。

 

市販イーゼル用パレット・水洗器置き台
高槻絵画同好会の大原敏道さん考案の用具置き台です。
これはカメラ用三脚ではなく、ホルベインなどの絵画用イーゼル(従って真ん中の脚がない3本脚)に用具置き台をセットできるようにしたもの。置き台に三脚の二つの脚がしっかりと挟まるようにスライド式で横棒が出せるように工夫されています。さらに台の裏側にスライド式に細板を出せるようにし、その細板を伸ばして三番目の脚にゴムバンドを巻き付けて固定します。
市販のイーゼルはカメラ用三脚に比べて大きく重量があるが、その代わり丈夫でしっかりと地に足をつけるので少々の風でも倒れません。ただ、パレットや水入れ器を置く台がありませんので、用具を地面に置くと、一々屈んで使うことになり非常に疲れます。百均で売っているような台所用品の折りたたみ台を脇に置いて、その上に用具を載せて使う方法もありますが、大原さんの置き台だと軽くて簡単にセットでき、台の高さが自由に調整できるという利点があります。

  

究極の簡易イーゼル
こぼれび絵画クラブの小笠原弘さん愛用の簡易イーゼル(?)です。
段ボール箱の底と蓋を取り去って縁をナイロンテープで補強しています。この段ボールと敷物さえあればどこでもスケッチOKという手軽さです。現地で枯れ枝を適当に折って写真のように2本で四隅を支えその上に画板を置きます。
これぞ、究極の簡易イーゼル、さすが年の功と感心します。

  

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