風車の丘(鶴見緑地)

風を聴く丘(鶴見緑地)  2025/9 F8
残暑厳しい中、こもれび水彩クラブのスケッチ会に参加。この巨大な風車は1990年に鶴見緑地で花博が開かれたときに建てられたもの。緑地内の「鶴見新山」(標高39m)の頂上付近にあり、緩やかな斜面は大花壇になっている。晩夏の今は咲いている花は多くなかったが、11月には一面コスモスが咲き誇り大勢の人出で賑わう所だ。ところで、かってこの辺りはゴミ(都市廃棄物)や地下鉄工事の残土などで固められた山であったことをご存知だろうか。山は70年代から造成されていて花博の頃になると近畿自動車道から一部が見えるくらいに高くなっていたことが記憶に残っている。鶴見新山と名つけられたゴミの山が1990年に花博の舞台へと生まれ変わり、その跡地が再整備されて「花博記念鶴見緑地公園」に進化を遂げたのだ。今や市民の憩いの場として、市民文化を育む地として親しまれている。何と素晴らしいことではないか。この風車、そう思うと戦後の経済成長と都市開発で生じた影の部分に光を当てた象徴のような存在として誇らしく立っているような気がしてくる。それから35年後の現在、関西万博が同じような都市廃棄物で埋め立てられた夢洲で開催中である。地盤の軟弱性、メタンガスの発生、交通アクセスの脆弱さなど大問題が残されたままの開幕となった。閉幕後は会場隣接地がIR(統合型リゾート)へと転換されることになっている。兆が付く莫大なお金をかけてのIRが果たして市民の日常的な憩いの場に生まれ変われるだろうか。カジノを中核とした商業と観光施設なんて結局享楽と消費の場になるだけだろう。健全な市民的文化が育まれる地にはなりえないと思う。そんなモヤモヤしたことを頭に浮かべながらスケッチしていると熱射が差し込み眩暈がしてきた。(下の絵は現地で描いたスケッチ画。上の絵は帰宅後、構図を変えて描き直したもの。風車から羽の音が聞こえるような丘をイメージしたのだが・・もうひとつだった。)


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