漆器の里・黒江の通り 2024/5 四切 |
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先月末、絵仲間と日本三大漆器の一つ「黒江塗」の里(和歌山県海南市)を訪れた。福島県の会津塗、石川県の輪島塗は直近の大地震で相当の被害が出たが、室町時代から続く黒江塗の里は今も風情ある古民家がたくさん残っているのがありがたい。京風の連子格子の外観と軒先に立てかけられた木製の樽で漆器関係の町屋であることがすぐに分かる。木樽は原料の漆の保存容器だったらしい。黑江ならではの旧くて良いものを再利用しての町おこしはなかなか粋な計らいだなと感心した。この絵の民家は築180年の元漆器問屋。現在は「黒江ぬりもの館」の名で漆器の展示販売とカフェとして使用されている。大八車に乗せられた特大の漆樽が徳川御三家、紀州藩に庇護された当時の繁栄を物語っているように思えた。 (訂正)黑江ぬりもの館へ問い合わせたところ、この木製樽は「くろめ桶」と呼ばれる生漆を精製するための用具。桶底にある丸い凸部は加熱用の電源入れ部。生漆をこの桶に入れ加熱しながら攪拌して水分を飛ばし成分を均一化させていたとのことでした。昔は天日利用だったため丸い凸部はなかったそうです。古民家は元漆器問屋ではなく漆器工房兼職人の住居でした。築180年は合ってました。(2024/5/31) |